採用サイトは会社の実力以上の表現はできない
採用サイト制作では冷静かつ現実的なプランを計画することが重要です。
採用サイトを制作するとき、つい「それっぽい採用サイト」にしてしまいがちです。特に、中小・中堅企業が大企業の見せ方だけを真似してもまったく効果がありません。派手な演出、実態と異なる社風を表現する表現、中身のないコンテンツ……これらは、数多くの企業がやりがちな採用サイトの失敗パターンです。
求職者は、「見た目が良さそうだったから」「採用サイトがカッコいいから」といった理由で企業にエントリーすることはありません。仮にエントリーを得られたとしても、そのような理由でエントリーする求職者は自社が求める人物なのか? と問われると、大半の企業の答えは「No」だと思います。
求職者は冷静に候補企業を見定めています。自分が活躍できる会社か、雰囲気の良い会社か、長く勤められるか、良い待遇は得られるか、社会に役立てるかなど、求職者ごとに異なる考えを持っており、希望の条件や選定ポイントも異なります。これらの求職者の考えにフィットし、自社に魅力を感じてもらわなければ、マッチング度の高いエントリーを獲得することはできません。
そして、忘れてはいけないのは、採用サイトはあくまで採用サイトでしかないということです。嘘を書いたり過剰に誇張したりすることはできません。極端に言えば、新卒の初任給が22万円の会社が、エントリー数を増やそうとして30万円などと書くことはできません。つまり、会社の魅力や制度、勤務することのメリットなど、いわば「会社の実力」はそのまま採用サイトに掲載されます。どんなに見栄えのいい採用サイトを制作しても、会社の実力を実態よりも良く見せることはできないということです。
私たちが手掛ける採用サイト制作では、まずは会社の魅力や実態を冷静に棚卸しして、その後、採用ターゲットを整理していきます。そのうえで、会社の手持ちの武器やカードで、どのように求職者に魅力的なメッセージを届けられるかを計画していきます。
採用サイトの成功・失敗パターン
成功パターン
- 実態に即した表現・内容重視
- 濃密で具体的なコンテンツ
- 自社の実態に合わせた表現
- 正直でリアルな情報提供
失敗パターン
- 派手な演出・実態と異なる表現
- 中身のないコンテンツ
- 大企業の真似(自社に不適切)
- 虚や過剰な誇張
採用ターゲットの策定
「リーダーシップ」「経営者視点」などのありきたりなターゲット策定ではなく、
スキルとマインドを軸に、自社とフィットする人材を冷静に見極めます。
他のマーケティング活動と同様に、採用活動においてもターゲットを策定すべきです。採用ターゲットが明確に定まっているからこそ、求人を掲載する媒体を選定したり、適切なコミュニケーション施策を検討したりすることができます。
これらの採用ターゲットやペルソナをすでに策定されている企業ももちろんありますが、私たちの感覚では圧倒的に未策定の会社が多いように感じています。私たちの採用サイト制作ではこのような「そもそもどのような人を採用するの?」という点から悩んでいる企業向けに、まずは採用ターゲットの策定を実施します。
スキルとマインドそれぞれをマスト、WANT、ネガティブで整理
採用ターゲットの策定となると、「リーダーシップがある人」「経営者視点を持ち合わせている人」など、いわゆるスーパーマンのような人物像を策定しがちです。しかし、現実問題としてそのような人は極めて希少であり、本当に自社にフィットするのか? という点においても疑問が残ります。現場に求められる人の解像度をもう少し上げてみると、実はリーダーシップを発揮する人よりも周りとの調和やサポートを重視する人の方が活躍しているというケースは往々にしてあります。このように、採用ターゲットの策定は慣習や先入観にとらわれることなく、冷静に現場や組織の状況を整理しながら策定していく必要があります。
採用ターゲットの策定方法は、企業によってさまざまです。私たちの採用サイト制作でも企業に応じて手法は変えますが、最もポピュラーなのが、求職者に求めるスキルとマインド軸で人物像を整理していく方法です。必須で持ち合わせていてほしいスキルとマインド(マスト)、できれば持ち合わせおいてほしいスキルとマインド(WANT)、持っていてほしくないマインド(ネガティブ)の3つの軸で整理していきます。なお、ネガティブ要件はスキルではなく主にマインド面のみを見ます。これらのターゲットは現場や職種、部署などによって変化するケースもありますので、必要に応じて複数のパターンを作成します。
ペルソナの策定
採用ターゲットの策定と関連して、採用サイトを利用するユーザのペルソナ像を整理する場合もあります。ペルソナの是非についてはさまざまな議論がありますが、採用サイトのプラン計画後に控えるコンテンツ作成フェーズにおいては、対象ユーザの思考や好みなどがイメージしやすくなるためペルソナの策定は役に立つと考えています。一方、データの不足や偏り、ユーザの理解不足など、ペルソナ策定に一定のハードルやフィットしない企業があるのも事実です。このような企業が無理にペルソナを策定する必要はありません。
採用サイト制作自体が初めての企業や、戦略的な採用活動の経験が浅く、データやユーザ理解が不十分な企業は、まずは採用ターゲットの策定に留めるか、あるいは実在する人物をペルソナの代役的に起用する方が現実的といえるでしょう。
採用ターゲットの情報ニーズや思考の把握・調査
採用ターゲットの情報ニーズや思考を把握することも、採用サイト制作においては特に注力すべきです。
求職者にとって採用サイトは候補企業の重要な情報源であり、求職者は採用サイトで自身のニーズを満たしたいと考えています。
まずは求職者のニーズを把握して、採用サイトで求職者をおもてなしするための準備をしましょう。

アンケートの実施
採用ターゲットの情報ニーズや思考を把握するには、さまざまな方法が考えられます。例えば、既存スタッフに対するアンケートの実施は、比較的低コストかつ、どの企業でも実施しやすい方法といえます。具体的には、事前に策定された採用ターゲット、あるいはペルソナに最も近い性質の既存メンバーに対してアンケートを実施します。
選考中はもちろん、求職活動前後の思考や動きなどについてさまざまな設問に回答してもらい、ターゲットの思考や動きなどを把握します。ターゲット像に近い性質のスタッフを、少なくとも5人程度ご用意いただき、アンケートを取るのが望ましいです。また、職種や業種などが多岐にわたる企業の場合は、採用ターゲットが1種類ではないケースもあるため、対象セグメントごとにそれぞれ5人程度のアンケート対象者がいるのが望ましいといえます。

インタビューの実施
アンケートだけでなく、既存スタッフへのインタビューも有効です。アンケートのような単一方向のコミュニケーションでは得にくい、より深い部分の考えやニーズなどを掘り起こしやすいのが、インタビューのメリットです。また、インタビューはそのまま採用サイトのコンテンツとして二次利用することもでき、一石二鳥の取り組みといえます。
ただし、社内スタッフ間でインタビューを実施する場合、十分な取り決めや配慮が必要という意味で、難易度が高い調査方法といえるかもしれません。例えば、上司と部下のような関係でインタビュアーとインタビュイーを担当してしまうと、職場の忖度など不要なノイズが生じ、良質な情報を取得できない可能性もあります。
したがって、スタッフへのインタビューには私たちのような専門家を起用していただく方が、忖度のないフラットな意見を聞き出しやすく、慣れという意味でもメリットがあると考えられます。
私たちの採用サイト制作では、取材や原稿執筆のサービスもご用意しております。
採用ターゲットの行動パターンからコンテンツアイデアを創出

アンケート調査やスタッフインタビューなどを通じて、採用ターゲットの思考や行動パターンを把握した後、採用ターゲットの動きをカスタマージャーニーのような資料にまとめます。具体的には、求職者が認知から内定に至るまでの各採用フェーズにおける心理状況や情報ニーズ、採用企業側にとって望ましい行動などをまとめていきます。

これらの情報をもとに必要なコンテンツを洗い出し、その後、1点ずつ各コンテンツの計画につなげていきます。また、この段階で大まかな必要コンテンツはクリアになるため、いわゆるサイトマップという形式でサイトの全体像を資料化します。
後工程の採用サイトのコンテンツ計画についてはこちら
会社のビジョン、強み、メリットや実態などを棚卸し
現場取材や代表インタビューなどを通して、お客様の魅力を粘り強く掘り下げていきます。
私たちが手掛ける採用サイトのプラン計画は、採用ターゲットの理解に留まりません。当然ながら、採用企業側に魅力や勤務するメリットなどがなければ、求職者は条件だけで応募企業を決めてしまうことでしょう。もちろん圧倒的な条件や福利厚生などを提示できることはシンプルな強みではありますが、大企業や外資企業ならともかく、中小企業や中堅企業ではそのような条件はなかなか提示できないのが実情でしょう。

また、求職者はそもそも条件だけで企業を選んでいるわけではありません。教育研修事業・就職支援事業を展開する株式会社ジェイックが2024年度に入社する新入社員向けに行ったアンケート調査によると、入社の決め手となった理由として「事業内容に興味があった」と回答した人が最も多く、66.9%もいました。※
採用サイトにおいて、事業内容をできるだけ具体的かつ現実的に記載することがいかに重要かがお分かりいただけるかと思います。なお、2番目に多かった理由は「成長できる環境があると感じた」(57.5%)、3番目は「面接してくれた社員が魅力的だった」(44.1%)でした。※ 入社することでどんなスキルが身につきどのように成長できるかを紹介することはもちろん、面接に参加する会社の代表や社員の人柄を紹介することも、マッチング度を高めるのに役立つと考えられます。
求職者の中には、お客様が求める人物像にフィットする方が必ずいます。そのためには、会社の魅力や課題など自社に関する情報を漏れなく棚卸しする必要があります。私たちの採用サイト制作では、代表者、人事担当、スタッフなどのインタビューや現場への取材を通じて、お客様の企業の魅力や勤務するメリット、働く意義などを丁寧に掘り下げていきます。
中には、「ウチにそんな魅力はないよ……」と半ば諦めのような声を上げられる企業もいらっしゃいます。しかし、一生懸命事業に取り組んでいる企業であれば必ず、長年勤務されている方やいきいきと働かれている方がいらっしゃいます。数多くの企業と取引をしていたり、自社にしか作れないものやサービスがあったりと、会社の中に何らかの魅力が必ず隠されているものです。
これらの魅力は、自社では当たり前すぎてなかなか気付けないものかもしれませんが、私たちのように、フラットにお客様を見ることができる立場であればうまく見つけることができます。場合によっては地方にある工場まで足を運び、現場の方のお話を聞かせていただいたり、何度も担当者からお話を伺ったりして、粘り強くお客様の魅力を掘り下げます。
私たちはお客様の魅力を掘り下げるのが得意ですが、一方で、私たちだけでは決して完結できない業務でもあります。会社の魅力を棚卸しするフェーズでは、ぜひお客様にも積極的にご協力いただければ幸いです。


競合他社の調査
自社の棚卸しや採用ターゲットの整理の他に、競合他社の調査を実施することもあります。例えば、選考の中で応募者が競合他社に流れてしまうケースも稀にあります。そのような問題が考えられる場合は、競合他社の採用サイトを細かに調査し、少なくともコンテンツで劣る部分や抜けがない状態にします。競合他社と比較して情報量等に差異がない採用サイトにすることで、最低限、比較検討の対象になれない事態を避けることができます。これは勝つための施策というよりは、負けないための施策といえます。
なお、BtoB企業のお客様が新卒採用向けの採用サイトを制作する場合は、競合他社の調査は割愛する場合があります。新卒採用の場合、応募者のほとんどは業種などの類似する要素で応募企業を絞りこんではおらず、応募企業のタイプや種類にバラつきが生じます。そのため、純粋な同業間での業務内容や条件などをWeb上で比較検討するケースは稀と推測できます。したがって、採用サイト上の必要な情報に抜け漏れがなければ、さほど影響はないと考えられます。もちろん、募集要項や仕事説明などの最低限の情報が満たされていることは前提です。
採用サイトのプラン立案の主な担当者
椿坂 泰志
代表取締役/ディレクター
キオミル株式会社の代表取締役。キオミル株式会社のコーポレートサイトや採用特設サイトの原稿をすべて担当。採用特設サイトでは毎月コンスタントに求職者からのエントリーやカジュアル面談の申し込みを獲得しています。自社サイトで培った経験とノウハウを元にお客様の採用サイトのディレクションやコンテンツプロデュースを中心に担当。
佐藤 祐太
ディレクター
大学卒業後、大手寝具メーカで営業として従事。能動的な営業を日々模索する中で「インバウンドマーケティング」に興味を持ちディレクターとしてWeb制作会社に転職。以降、スクールに通いデザインや実装技術を取得し、キオミルに入社。お客様側の理想や現実を理解し、ディレクターとして課題解決に伴走。
林崎 菜美
ディレクター
大学卒業後、旅行代理店に入社し自社サイトのWeb運用に携わる。その後、Web業界で経験を重ね、WebデザイナーからWebディレクターへとキャリアを広げる。現在はキオミルで、お客様一人ひとりの課題に寄り添い、成果につながるWebサイトづくりに取り組んでいます。
採用サイトのプラン立案に関するよくあるご質問
求める人物像など採用に関する考えがまったくまとまっていませんが、問題ありませんか?
問題ありません。採用サイト制作と合わせて準備される方がほとんどです。
大半の企業は採用に狙いがありません。私たちは採用ターゲットの策定や自社の魅力の棚卸しなどを得意としておりますので、採用サイト制作の際に、私たちと一緒に採用プランを整理いただくのがおすすめです。
社内スタッフ向けにアンケートやインタビューもお願いできますか?
もちろん可能です。
採用ターゲットのニーズや自社の魅力や課題の棚卸しには、今働いているスタッフから話を聞くのが手っ取り早く、有効といえます。私たちの採用サイト制作では、アンケート調査の準備からスタッフインタビューまでお任せいただくことが可能です。
採用サイトの制作+戦略で、
貴社の採用力を強化!
アンケート調査や社内インタビューなど、きめ細かい採用プランまで計画しながら
採用サイトを制作できるWeb制作会社はほとんどありません。
明確かつ納得感のある採用プランまで含めた採用サイト制作をご希望の方は、ぜひ一度私たちにご相談ください。
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